【レビュー】うずらの卵用に自動孵化器を買ってみた(心構え編)


ウズラの孵化、飼育をはじめる前に知っておくべきことをまとめておきます。ウズラは小さな体にかかわらず大きな声(特にオス)で鳴きますし、大量の糞もしてニオイます。毎日の世話が必要で、長期間家を空けることもできません。寿命も5〜6年は生きるので、飼育や孵化を検討している方はその辺りをよく考え、家族がいる場合は話し合った上で購入するなり孵化させるなりしてください。

並かヒメか
手に入りやすい種卵は並ウズラ(日本ウズラ)とヒメウズラです。並ウズラは、ヒメウズラと比べるとやや大きめで、大人のゲンコツぐらいのサイズ感です。ヒメウズラよりも懐きやすくエサをやるときはひざの上にピョンと乗ってきます。大きいぶん病気にも強い傾向にあり、生存率もヒメウズラより高いです。


一方、ヒメウズラは東南アジアに生息する野生種で、並ウズラの半分、スズメぐらいのサイズです。いろんなカラーの個体が生まれてくるのが特徴です。小さいぶん飼育スペースが狭くすみ、エサや糞の量も少ないのも良い点でしょう。鳴き声も並ウズラよりは小さく飼いやすいです。ヒメウズラは、東南アジア原産なので、並ウズラと比べると寒さへの耐性が低い点は注意が必要です。


鳴き声
鳴き声は、ヒナのうち(並ウズラは生後30日、ヒメウズラは60日ぐらいまで)はさほど気になりません。呼び鳴きといって、群れからはぐれたときなど、仲間に自分のいる場所を知らせるときに「ピピッ、ピピッ、ピピッ」とさえずる程度です。

ところが、成鳥になって発情期に入ると、特にオスが「ゴゲギョー」「グゲェー」などかなり大きな雄叫びを上げます。ニワトリ同様、夜明けとともに雄叫びを上げはじめるので、夏場であれば朝の5時頃から、それなりに大きな音が響きます。

個体差もありますが、運が悪ければ、朝も夜も1日中大声で鳴き続けることもあります。メスと一緒に飼育させるペアリングがうまくいかないと鳴き止ませることは難しいので、集合住宅や戸建てでも隣の家が近い場合などは苦情が出る可能性が高いです。


ニオイ、糞
ウズラは、小さな体にも関わらず、大量にエサを食べて、大量の糞とオシッコをします。単独飼育であれば量は知れているので室内で飼育しても特に問題はありませんが、多頭飼育では飼育数によっては1日で床がフンまみれになるので、こまめに清掃するか、それが無理なら屋外で飼育したほうがよいでしょう。ただし、マンションのベランダのような場所で飼育すると隣の部屋からニオイの苦情が出る可能性があります。

ウズラは、体に比例して消化器官が小さく、エサの消化率が高くない(3割程度)ため通常の糞のニオイはエサ由来のものを除けばそんなに気になりません。しかし、オシッコはアンモニア臭がそれなりにしますし、エサに魚粉などが多く含まれている場合は糞もクサくなります。

 通常の便(白いのはおしっこ)

加えて、糞の一部は盲腸に蓄えられて再利用されたあと、盲腸便として排出されます。この盲腸便は1日に数回程度で、糞全体に占める割合は少ないですが、褐色、糊状で通常の糞よりニオイが強いのが特徴です。通常便はピンセットを使って回収できますが、盲腸便はベタッとして床にこびりつくので厄介です。

盲腸便は汚れるし臭い

我が家の場合、ヒナのうちは60cm水槽で飼育していましたが、朝晩2回、底敷きのキッチンペーパー交換が必要でした。成鳥になった現在はベランダ(1x4m)で飼育しています。コンクリート床なので、糞は1日1回ホウキで掃いて回収し、オシッコや盲腸便などの汚れは週1回ブラシと水道水で洗い流しています。夏場はエサ自体が臭いますし、砂やケージにもニオイがつくので、朝晩のこまめな掃除は必須になります。

温度管理
ウズラにとって理想的な飼育温度は16〜23度です。10〜30度の気温には耐えられますが、暑すぎ、寒すぎはストレスの原因になります。夏場は直射日光の当たらない風通しの良い涼しいところで、冬場は日当たりの良い場所で飼育できる環境が求められます。

地域や飼育場所によっては暖房や冷房設備が必要になります。屋外飼育では、冬場は風除けや寒い地域ではヒーターが必須ですし、夏場も環境によっては扇風機やエアコンのような空調設備が必要になります。

飼育数
ウズラ飼育をはじめる際、どの程度の数を飼えばよいのか悩みます。はじめての飼育であれば鳴き声の小さいメスの単独飼育が一番簡単です。1匹なら大事に育てれば飼い主によく懐き(ベタ慣れ)、良い関係が築けます。オスの単独飼育は運が悪ければ鳴き声にかなり悩まされることになるでしょう。オス1、メス1の番(つがい)にすれば鳴き声は落ち着きます。

複数飼育する場合は、並ウズラの場合、オス1羽に対してメスを3〜5羽にしてハーレム状態をつくるのが理想です。オスを複数にすると発情期にメスの取り合いで壮絶なケンカになります。ヒメウズラはハーレムをつくらなくてもトラブルを起こす可能性は低いですが、これもやはりウズラ同士の相性というものがあるので絶対とはいえません。

種卵から孵化させる際は、飼育できる範囲内で孵化させるようにしましょう。生まれてくる数は、種卵の有精卵率や孵化率にも影響されますが、うまくいった場合は8割以上の卵が孵化します。すべての卵が孵化する可能性もあるので、そうなっても飼育できるように計画を立てて孵化させてください。

卵からだとついつい多めに孵化させてみようと思いがちですが、インコやオウムを5匹とか10匹飼うことをイメージすれば、いきなりたくさんの卵を孵すことがどれだけ無謀かがわかっていただけると思います。

飼育場所
単独飼育なら鳥カゴ(ケージ)に入れて飼育するのが良いでしょう。複数飼育も1羽ずつをケージに入れて飼育したほうが、ウズラ同士がケンカをせず安心して飼育できます。目安としてはして並ウズラ(1〜2羽)なら60cm水槽が、ヒメウズラ(同)なら30cm水槽が最低限必要なサイズです。

集団飼育する際は、飼育スペースが狭いとウズラにとってストレスになり、他の個体を攻撃する原因にもなります。給餌スペースや隠れ家などとは別で、1羽あたり最低でも60(7.5x7.5cm)〜80㎠(9x9cm)のスペースが必要です。ある程度広さのある大型ケージを準備してください。

隠れ家も必要

ウズラは驚いたときなど垂直方向に2メートルぐらいは飛びます。ジャンプした拍子に天井にぶつかるとケガをしたり、脳に障害を与える危険性があります。ケージの高さはジャンプできないように低いものにするか、天井にクッションになる柔らかい素材のものを貼っておくと安心です。

なお、屋外飼育をする際は、逃亡防止と、外敵(カラス、猫など)の侵入防止のためネット(網)などの対策が必要です。イタチあたりは地面に穴を掘って侵入してくることもあるので、地下にコンクリートブロックを設置するなどの土木工事も必要になります。

ネットでカラス対策

飼育費用
飼育費用についても少し触れておきます。単独飼育であれば飼育するために必要なものはヒヨコ電球、サーモスタットなど揃えても1万円程度で準備できます。エサ代も月500円程度で賄えます。飼育場所のレイアウトに凝りはじめたらDIYなどそれなりの出費が必要です。

また、ひとたび病気になれば、診察(治療費、薬代含む)だけで5,000円程度はかかりますし、入院となれば1日あたり5,000〜10,000円程度の費用が必要です。さらに、手術が必要ということになると数万〜数十万円というケースも発生します。けっして手軽に飼えるものではありませんから、経済的に余裕のない人は飼育しないほうがいいです。

ウズラ大学のヒメウズラ種卵を買ってみたら酷い目にあった件

◯心構え編
◯孵化編
◯ヒナ飼育編
◯エサ編
◯エサ編(ウソホント)
〇グッズ編
◯いろいろ編
◯1ヶ月経過編
◯2ヶ月経過編

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